訃報は突然舞い込んでくるもの。
故人を弔う気持ちはあるけれど、お通夜に出席する時間がない・・・
焼香をする時間だけは取れそうだけど、それって失礼にあたるの?
何かと忙しい現代人にはこんな悩みはつきものです。
しかし、実際にお通夜に焼香だけの出席は常識はずれなのでしょうか?
この記事では、お通夜に焼香だけ出席することが失礼にあたるのか、そして焼香だけ出席する場合の香典について解説します。
【目次】
お通夜に焼香だけ出席しても失礼ではない
結論から言うと、お通夜に焼香だけの出席は常識はずれにならず、失礼ではありません。
また、事前に焼香だけの出席と遺族のかたに伝えておく必要もないのです。
そもそも訃報は いつ やって来るか分からず、お通夜の予定も事前に立てておくことはできません。
もちろん、仕事や他の用事が入っていることもありえます。
「焼香だけになってしまうのは失礼かも・・・」と思ってしまいますが、遺族も突然のことに時間が取れない方もいることは承知しています。
ですので、「お焼香だけだから行かない」という選択は、逆に失礼にあたります。
「忙しい時間の合間をぬって、故人を偲んでお通夜にかけつけた」という行為こそ、故人への弔いの気持ちを伝えることであり、遺族への哀悼の意を示すことでもあるのです。
お通夜に焼香だけ出席する場合はどうしたら良い?
では、お通夜に焼香だけ出席する場合は、どうしたら良いのでしょうか。
疑問に思うこととして、下記3点をまとめました。
- お通夜に参列する前の弔問
- お通夜に参列する時間
- お通夜から帰るタイミング
こちらについて、順を追ってお話しします。
お通夜に焼香だけ参列する前に弔問は必要?
お通夜に焼香だけ参列する前に、事前に弔問しておいた方が良いかという疑問が浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
一般的には、お通夜に参列する前に弔問する必要はありません。
故人の親族であったり、家族のように親しくしていた友人や近所の方については、遺族から一報が入って弔問に駆けつけることもあります。
ですが、お通夜や告別式の前の準備などで遺族もとても忙しく、体力的にも精神的にも疲れていることがありますので、無理に弔問するとかえって迷惑になりかねません。
お通夜にも告別式にも参列できないけれど、どうしても故人にお別れを伝えたい場合などは、遺族に確認したうえで弔問するかどうかを決めましょう。
参列する時間
一般的なお通夜は、以下のような流れで行われます。
- 司会者による開式宣言・僧侶入場
- 僧侶の読経
- 焼香
- 僧侶による説法
- 僧侶退場・喪主挨拶
- 司会者による閉式宣言
- 通夜振る舞い(会食)
開式から閉式までは約1〜2時間ほどです。
僧侶の読経は30分程度かかり、その後に焼香が始まります。
焼香の時間はだいたい30〜1時間が多いですが、参列する人数によって長くも短くもなります。
一般的な傾向として、故人が働き盛りの年齢で会社員であれば、勤務先や取引先からの参列者などが多くなります。その分、焼香の時間も長くなります。
反対に、故人がすでにリタイアしてから長年経っている高齢の方などの場合は、故人の友人も高齢となっているため遠方へ足を運べないという方も多くなり、参列者は親族とご近所の方などがメインになるため、焼香の時間も短くなります。
会場に着いたら、受付で芳名帳にご自身の名前を記帳して香典を渡し、焼香の列に並びます。
上記の傾向も参考にしていただきつつ、焼香開始時間の少し前に会場に到着できるようにすると良いでしょう。
帰るタイミング
では、お通夜に焼香だけ出席する場合は、どのタイミングで帰ったら良いのでしょうか。
基本的にはご自身の焼香が終わったらそのまま会場を出てもOKです。
会場を出る際には受付の方へ声をかけましょう。
受付でお香典をお渡ししていれば、係の方から香典返しを渡されることが近年多くなっていますので、そちらを受け取って帰宅して大丈夫です。
お通夜に焼香だけでも香典は必要?
焼香だけの場合はお香典をつつむ必要はあるのでしょうか?
多くの場合は、「イエス」という答えになります。
しかし、場合によっては香典をつつむ必要がないこともあります。
それはどういった場合なのか、詳しく見ていきましょう。
お通夜に焼香だけ出席する場合でも香典は必要
香典とは、故人を弔う気持ちを表しています。
本来は参列者が故人を偲んでお花やお香をお供えしていたものを、代りにお金を包むようになったことから今のお香典の形になりました。
また、お葬式には多くの費用がかかりますので、遺族の負担を軽減する意味合いもあります。
焼香だけでもお通夜に出席したことになりますので、こういったお香典の意味合いからしても、基本的にはお香典もお渡しする必要があるのです。
親しくない人のときは持参しないこともある
あまりお付き合いがなかったり親しくなかったけれど、諸々の事情でお通夜に出席しなければならない場合のお香典は、どうしたら良いでしょうか。
先ほどもお話ししたように、お通夜や告別式に参列する行為は、亡くなった方を悼み、弔うということであり、お香典はその気持ちを表すものです。
したがって、受付で記帳だけをして、焼香するだけでも問題はないことになります。
香典を持参しなくても受付で記帳して焼香させてもらうことはできますし、受付の方の目が気になって気が引ける場合は、「焼香させていただきたく、立ち寄らせていただきました。」などを一言伝えれば良いでしょう。
また、極端に言えば受付で記帳をしないで焼香だけして帰ってもマナー違反ではありません。
お通夜やお焼香が何を意味しているのか、きちんと整理して故人を悼む気持ちを持ってさえいれば、失礼にはあたらないということが分かりますね。
香典辞退の場合
近年は家族葬などの小規模な葬儀が増えており、遺族から香典を辞退される場合があります。
その場合、本当に香典は持参しなくて良いのでしょうか?
多くは訃報の連絡の際に、口頭や文書で「故人の遺志によりご香典を辞退させていただきます」などの遺志を伝えられます。
また、香典辞退の遺志が会場の入り口などに掲示されていることもあります。
もし知らずに持参してしまった場合で会場にそのような掲示がされていた際は、香典をお渡しする必要はありません。
心配であれば、受付の方へ香典辞退の遺志を知らずに持参した旨を伝えて確認しても良いでしょう。
いずれの場合も、香典辞退の遺志を伝えられた場合には無理にお渡しする必要はありません。
香典を辞退する遺志が示されているにもかかわらず、無理やり香典をお渡ししようとすることは、かえって遺族に迷惑をかけることになりますので注意しましょう。
しかし、香典辞退の遺志が示されていない場合は、基本的には香典を持参する方が望ましいです。
下記の記事ではお通夜がない場合の香典について説明しています。あわせて参考にしてみてください。
お通夜のマナーと焼香のあげ方
お通夜での服装マナーや焼香のあげ方について説明します。
お通夜の服装
お通夜に参列するために駆けつけなければいけないという理由で、地味な色の平服(普段服)でも許されることはあります。
しかし、近年はお通夜のみ出席して告別式は出席しないというケースも増えている背景から、焼香だけの出席の場合も喪服を着用する方が好ましいです。
社会人でない場合、学生は学生服(学校の制服)、子どもであれば目立つ柄の入っていない地味な色の服装にしましょう。
お通夜での焼香のあげ方
お焼香のあげ方についても、宗派などによって多数の方法があります。
お焼香をあげる形についても、立礼焼香、座礼焼香、回し焼香など、複数の形がありますが、葬儀が行われる会場の多くは立礼焼香(会場に椅子席があり、祭壇の前に設置された焼香台でお焼香をあげる形)となっています。
一般的なお焼香のあげ方について、一例を紹介します。
- 順番が来たら祭壇の方へ進み、遺族、僧侶、遺影の順に一礼する
- 抹香(粉末のお香)を右手(聞き手)の親指と人差し指、中指の三本でつまみ、額の位置まで上げて香炉に撒く
- 上記を1〜3回繰り返し行う
お焼香のあげ方については、前の人を真似すれば良いと思って事前に確認しておかない方もいらっしゃいます。(私もそうでした)
ですが、実際に焼香の列に並んでみると、前の方の背中しか見えず、手元で何を行っているかまでは分からないです。
そのまま自分の順番が来てしまい、焦ってしまうことになりかねませんので、きちんと事前に確認をしておきましょう。
お焼香のあげ方についての詳しい内容は下記の記事で説明しています。
お通夜に焼香だけ出席する場合の香典の金額は?
お通夜に焼香だけ出席する際に香典が必要な場合は、一般的な香典の相場の金額を包みましょう。
しかし、香典をどれくらいの金額包んだら良いのか、悩む方も多くいらっしゃるかと思います。
亡くなられた方とご自身がどのような関係性だったかを念頭におきつつ、相場を見てみましょう。
香典の相場は?
香典にいくら包めばよいかという金額は、一般的に亡くなられた方との関係性や血縁、年齢などによって決めていきます。
友人や知人に個人で包む場合は、大体5,000円〜10,000円程度となります。
その他のケースについては、下記の記事で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
まとめ
お通夜に焼香だけ出席することは、失礼にあたらないことや、お通夜に焼香だけ出席する場合に必要なことについてお話ししてきました。
お通夜開式から会食まで出席する場合は、少なくとも4時間程度かかるため、時間のない人にとって焼香だけの出席であれば、身構えずに参列できるのではないでしょうか。
しかし、焼香だけとはいえ、お通夜に出席していることには変わりありません。
あくまでも、どうしても時間が取れなかったり、やむを得ない事情があるから だということを念頭に置いて、故人を悼む心と遺族へ配慮する気持ちを大切にしましょう。