大切なひとの突然の死。
きっと一番好きだったであろう自宅で葬儀を行いたい。
そう思った時、頭に浮かぶのは葬儀の段取り、参列者、そして必要な物品ですね。
たとえ小さなお葬式だとしても家族や親族、近しい友人や知人を呼ぶにあたって必要なものがあります。
特にお坊さんをお呼びしようと思った時、「どこに座って読経していただくのか」を考えます。
そう、座るのにはお座布団、です。
洋式の建物、住まいが増えてきている今、畳がないため座布団を持っていない人は少なくないのではないでしょうか。
畳がある暮らしでも座布団の代わりにクッションなど、時代は変化しています。
葬式をしたいが、座布団がない。
そんなときどうするのか、一緒に考えていきましょう。
【目次】
自宅での葬式に座布団は必要?
自宅で葬式をすることになった時、そもそも座布団は必要なのでしょうか?
「和風のクッションがあるならそれでもいいのかな?」
そんな声も聞こえてきそうです。
洋風の生活が浸透してきて畳の間が無い、というお家も多いでしょう。
それでも自宅で葬式をする場合、亡くなった方は自宅に戻って布団に寝ます。
畳の間が無いとしても亡くなった方より目線は低く、もしくは同じくらいにそろえるとなるとやはり床に直接座ることになります。
床に直接座るとなると、冬は寒く、夏は不快です。
やはり葬式に参列する人たちにはねぎらいとして座布団は必要、と考えます。
また、お坊さんを呼んで読経をあげるとなるとお坊さん用の座布団も揃えたいですね。
葬式用と普段使いの座布団の違い
葬式用の座布団と私たちが毎日の生活で使っている座布団、違いはあるのでしょうか。
実は、座布団にもいろいろ種類があります。
それぞれ、どんな点が異なるのか、みてみましょう。
普段使いの座布団
普段使いの座布団は、銘仙判(めいせんばん)座布団と言われ、サイズは約55cm×59cmです。
また、来客用の座布団はこれより少し大きく、八端判(はったんばん)座布団と呼ばれています。サイズは約59cm×63cmと少し大きめです。
昔はふとん屋さんで生地を選び、綿を入れて作ってもらうなど、一枚一枚手作りしていました。
今はサイズもまちまちでデザインや柄も豊富で、大量生産されているところが多いようです。
葬式用の座布団
来客用の座布団と同じとみなして良いようですが、お葬式の時は葬祭用に落ち着いた色や柄のものに変えましょう。
よく使われるのは和柄で緑や紫、紺、えんじ色など派手ではなく少し暗いトーンの色のものが主流のようです。
サイズは少し小さくなりますが普段使いの座布団でも代用はできます。
座布団カバーを落ち着いた色、柄のものに変えるだけですぐに使えます。
仏壇用座布団
お葬式の時、お経を読んでくださるお坊さんが座る「仏壇用の座布団」は、普段使いや来客用の座布団とはまた異なります。
一般に「御前座布団(おまえざぶとん)」や「仏前座布団」と呼ばれる仏壇専用の座布団です。
普段使いや来客用の座布団と違うのは、サイズや柄、中に入っている綿です。
お坊さんがお経を唱える間、ずっと座っていても疲れにくいよう、中に入っているのは品質がよく、柔らかい中綿です。
葬式の時の仏壇用の座布団のマナー
通常使う座布団や来客用座布団と異なり、仏壇の前に置く座布団にはしきたり、マナーがあります。
仏壇用座布団の置き方
普段使い用座布団や来客用座布団とは異なり、仏壇用座布団には置き方にも決まりがあります。
座布団の4つの辺のうち、1辺だけは袋状になっています。縫い目が無い部分です。
この縫い目のない1辺を前になるように置きます。
縫い目のない方を仏壇に向けて、縫い目のある残りの3辺は左右とお坊さんの背中の方に来るように置きます。
座布団カバーを付けている時は、ファスナーの方がお坊さんの背中側にくるように置きます。
また、仏壇用座布団には表裏があります。
表側には座布団の中心部分に閉じ糸の房があり、裏側には結び目があります。
サイズ、色や柄、素材
読経されるお坊様が座られることもあり、色や柄に気をつける必要があります。
サイズは4辺とも、60~70cmが一般的です。
色は、一般的に金襴もしくは緋色、紫色の座布団を使います。
柄は、唐草模様が仏教の中では定番とされています。他には、金鳳や水連、龍などの柄もよく使われます。
生地は化繊などいろいろありますが、特に正絹と呼ばれる絹でできた高級な素材のものは高価になります。
正絹は肌に優しく、座り心地がとても良いものでお坊さんへの最高のおもてなしになります。
座布団の中に詰める綿も高品質なものを詰めることが多く、長時間座っていても苦になりません。
座布団のサイズや柄については宗教によって色や柄は異なることがあるため、その宗教のしきたりに従うようにしましょう。
その他
お坊さんは、来てすぐに仏壇用の座布団に座るわけではありません。
お経をあげる時に仏壇の前の座布団に座られるので、それまでは来客用の座布団に座っていただくことになります。
葬式に座布団を手配する3つの方法
このような冠婚葬祭用の座布団が急に必要になった時、3つの手配の仕方があります。
- 購入する
- レンタルする
- 葬儀社に借りる
購入する場合
基本的に、座布団は仏具を扱っているお店やふとん店に行けば買うことができます。
来客用の座布団が全くないが、今後も仏事や冠婚葬祭があるとしたら、数枚は揃えて置きたいものです。
インターネットや通販でも購入できるようですが、できれば自分の目で見て触って確認してから購入したいですね。
インターネットだとかなり安い座布団もあるため、時間にゆとりがある場合は実際に店に足を運んで買うのが理想的です。
特に、仏壇用の座布団は、今後法事にお坊さんが来ることもあるので、一枚しっかりしたものが欲しいところです。
表の素材や柄、中綿によって金額は大きく異なります。
お店の方の話も聞きながら、いろいろ見て選ぶのも楽しいですね。
レンタルする場合
「日頃からそんなに来客がないし、座布団を買っても置いておく場所がない!」
それでもお葬式ともなると、まとまった数の座布団が必要になる場合もあります。
時間もなくてどこに頼んだらいいかわからない、という方に、座布団のレンタルができる会社を2つ紹介します。
来客用の座布団から仏壇用の座布団までいろいろあるようです。
来客用の座布団は1枚3日間レンタルで550円(税込)から、仏壇用の座布団だと3日間で1650円(税込)です。
こちらだと座布団1枚2泊3日200円(税別)から、仏壇用座布団は1枚2泊3日1500円(税別)からとなっています。
葬儀社に借りる場合
「自宅で少人数で葬儀を行いたい」と葬儀社に葬儀を依頼する場合、家族や参列者の座布団を貸してくれる葬儀社があるようです。
依頼する予定の葬儀社に、座布団の貸し出しがあるのかどうか、お坊さんを手配する場合、仏壇用座布団も貸してくれるのかなど詳しく聞いてみると良いでしょう。
【まとめ】葬式用の座布団
葬式に使う座布団についてお話してきましたが、いかがでしょうか。
まとめると、
- 座布団には種類がある
- 仏壇用座布団には置き方など作法がある
- 座布団はネットでも購入でき、レンタルもある
和室がなくなりつつある昨今ですが、自宅で葬式を行うという場合や法事など冠婚葬祭を自宅で行うこともあります。
その時にはやはり座布団を用意して、参列していただく方やお坊さんに快適に過ごしていただきたいものですね。