女性の喪服にはいろんなタイプがありますが、最近ではパンツスーツを検討する方も増えていますね。
ただ、「パンツスーツで葬儀に参列したいけれど失礼にならない?」と不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
SNSやサイトを見てみると「パンツスーツを喪服にするのはNG」という意見や、「でも、パンツスーツでの参列もよく見かけます」という声もあり…余計に混乱してしまうかもしれません。
ここでは、パンツスーツを喪服として着用するのはマナー違反になるのか、について詳しく解説していきます。
実際に「パンツスーツの参列者」がいる葬儀に参加した筆者の体験談も含めて、ぜひ参考にしてくださいね。
【目次】
喪服パンツスーツはなぜダメ?
まず、結論からお伝えすると、
女性の喪服としてパンツスーツを着用するのはダメではありません。
パンツスーツで葬儀に参列しても大丈夫です。
…ですが、パンツスーツは着られるシーンが限定されているため、押さえておくべき注意点もあります。
そもそも、なぜ世間では「喪服にパンツスーツはダメ」だと思われているのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
パンツスーツは略喪服としてならOK
喪服には、「正喪服」「準喪服」「略喪服」という格式の違いがあり、立場や状況によってふさわしい喪服を着るという慣習があります。
【正喪服】
一番 格式の高い装いとされる。お通夜から葬儀、法要まで幅広く着用できる。喪主とその配偶者や家族など、葬儀の主催側の人が着るもの。
【準喪服】
正喪服に準じた格式の装い。お通夜から葬儀、法要まで幅広く着用できる。喪主や親族、参列者が着るもの。
【略喪服】
一番 格下な装いとされる。急な訃報に駆けつける時や、喪服が手元にない時などに着用できるダークトーン(黒・濃紺など)のワンピースやスーツのことでパンツスーツもこれに含まれる。主に参列者や学生・子供などが着るもの。
このように、パンツスーツは一番格下である「略喪服」にあたることから、
「(正式な)喪服としては着られない」というイメージが強いのです。
特に、年配の方やしきたりを重んじる方は気にされることもあるので、配慮が必要です。
ちなみに、女性の喪服をタイプ別でフォーマル度の高い順にご紹介すると…
1位:喪服(和装・フォーマルドレス)
2位:アンサンブルスーツ
3位:ツーピーススーツ
4位:パンツスーツ
5位:ワンピースタイプ(上着なし)
こう見てもパンツスーツのフォーマル度は低めですね。
急な訃報で喪服が用意できない場合などは構いませんが、どうしても「あり合わせの服で来た感」が出てしまいます。
これから喪服を用意するのなら、立場や状況を問わず着られるアンサンブルタイプのスーツが便利でオススメです。
喪服パンツスーツがNGな場面
ダメではないけど着用シーンが限られている喪服のパンツスーツ。
どうしても略式のイメージがあるため、次のような時は着用しない方が良いとされています。
自分や家族が喪主をつとめるとき
喪主をつとめるなど、自分が葬儀の主催側になるときは格式の高い(準喪服以上)喪服を着たほうが良いでしょう。
故人のために時間をつくって葬儀に参加してくれる参列者への感謝の気持ちを表すことにもなります。
公式の葬儀に参列するとき
会社や取引先など、プライベートではなく公式で葬儀に参列するときです。
あまり直接のつながりがない方でも、やはり会社やコミュニティを代表して参列することを考えると失礼のない装いを心掛けたいものです。
どちらの場合も『絶対NG』というわけではありませんが、いろいろな価値観の人が集まる葬儀の場。自分の判断だけに頼らず、家族や上司に相談しておくと安心です。
近年はパンツスーツOKな場面も多くなっている
ここまで、パンツスーツは正式な喪服として着用できないとお伝えしてきました。
とはいえ、日頃からパンツスタイルの多い人や仕事でパンツスーツを着ている人など、喪服でもパンツスーツを着たいと思う人は増えています。
また、年配の方でも転倒から足を守ったり、防寒・動きやすさを考えてパンツスーツを着用する方も増えてきました。
近年は家族葬や密葬などの小規模な葬儀が主流となっていることもあり、喪主や近親者として参列する場合でも(家族以外の参列者がいない場合など)パンツスーツOKの場面は多くなっているのです。
喪服パンツスーツは親族だけの葬儀ならOK?
昔と比べて需要が高まっていることは確かですが、略喪服なので着るシーンを限定されてしまう喪服パンツスーツ。
ですが、家族葬などの小規模で行う葬儀では、喪服でパンツスーツで参列することに寛容になってきている面もあります。
・普段からパンツ派でスカートを穿きたくない。
・体調などの理由から足を出したくない。
などの理由で喪服パンツスーツで葬儀に参加したいとき、気をつけることはあるのでしょうか。
家族や親族に事前に相談しておく
家族と近しい親族のみでシンプルに行う葬儀と言っても、捉え方はさまざまです。
パンツスーツは略喪服ですから、伝統やしきたりを大事にする方や信心深い方などから理解を得られない場合もあります。
そのため、事前に家族や親族に聞いて相談しておくことをおすすめします。
葬儀当日にそんなことで揉めていたら、それこそマナー違反ですものね。
体験談|パンツスーツでの参列者
実は先日、義祖母が亡くなり葬儀をしました。その時のことをお話しします。
このご時世なので家族・親族だけでのシンプルな葬儀。
人数も絞ったのですが、叔父・叔母たちが集まるとそれなりの人数になりました。
私は、何年か前に作ったアンサンブルタイプの喪服があったので、それを着て参加。
一方、夫の従姉妹(30代)は仕事でも着ているというブラックのパンツスーツで参加しました。
お通夜の席では仕事帰りだったこともあり何も言われなかったのですが、翌日の告別式も同じスーツで現れると、叔母たちの目が光りました。
親戚からお小言を言われる
はい。お小言です。
まず「あなた、ちゃんとした喪服持ってないの?」から始まり、やんややんやの大合唱。
最終的には「◯◯ちゃん(叔母・従姉妹の母)買ってやりなさいよ」と行きつき、葬儀が終わってから喪服を買いに行く羽目に。
やはり、事前の相談・確認しておくことは重要です。
スタッフと間違えられる
叔母たちに囲まれている間、あまり納得していなかった様子の従姉妹。
ですが、セレモニーホールや火葬斎場にいる時、隣で行われている別の葬儀の参列者から、
「◯◯はありますか?」
「◯◯はどこですか?」
と何度か声をかけられていました。
そう。葬儀会社のスタッフさんと間違えられていたんです!
そんなこともあり、葬儀後におとなしく喪服を買いに行ったそうです。
誰もが間違えられるとは言いませんが、ビジネスタイプの黒いパンツスーツだと確かに見間違えてしまうかもしれませんね。
どうしてもパンツスーツを喪服として着たい場合、ビジネススーツのようなタイプではなくできるだけフォーマル感の高いデザインのものを選ぶのがおすすめです。
なぜなら、その葬儀でもう一人。パンツスーツの参列者(別の従姉妹)がいたのですが、そちらは何も言われてなかったからです。
彼女が着ていたのはフォーマル感が高く、一見して喪服らしい印象のパンツスーツでしたから、叔母たちも一概にパンンツスーツを否定しているわけではないようでした。
「別に何を言われても気にしない」という人なら問題ないのかもしれませんが、本来、葬儀は故人を悼む大切な時間です。
お悔やみの気持ちが伝わるよう、失礼のない装いを心掛けたいですね。
喪服パンツスーツを着る時のマナー
葬儀でパンツスーツを着用するときのマナーは、基本的に他のタイプの喪服と同じですが、パンツスーツならではの押さえておきたいポイントを紹介します。
インナーは光沢のない黒で
女性の場合は全身を黒に統一するのがマナーなので、インナーにも黒を合わせます。
黒いブラウスやカットソーなど、華美でなく光沢のない素材を選びましょう。
ストッキングも黒
足の露出が少ないので忘れがちですが、他の喪服と同じようにストッキングは黒を着用します。
まとめ
パンツスーツを喪服として着るのはマナー違反なの?という疑問から、立場や状況によって着用できるかどうかが違うということをお伝えしてきました。
パンツスーツは略喪服として着るならOK。
喪主など葬儀の主催する立場のときは着用できない。
喪服を新調するなら、立場や状況に関わらず着用できる「アンサンブルスーツ」がオススメ。
パンツスーツが着たい場合、フォーマル度の高いデザインを選ぶと良い。
いかがでしたか?
喪服にパンツスーツを検討する人は増えていますが、葬儀に参列する際の立場や状況を踏まえて、ふさわしい装いを心掛けたいものですね。