遺骨や遺灰からダイヤモンドを作り、アクセサリーなどに加工する手元供養が注目を集めています。
ライフスタイルや宗教観の変化により、新たに墓を建てる人は減少傾向にあります。現代に合った供養方法として墓を必要としない遺骨ダイヤモンドを選択肢に入れる人が増えているようです。
そんな遺骨ダイヤモンドですが、気になるのはその費用ですよね。
天然のダイヤモンドは高価なものですが、遺骨から作るメモリアルダイヤモンドも同じくらい高価なのでしょうか。
遺骨ダイヤモンドといえばスイスのアルゴダンザ社が有名ですが、費用はスイスと日本それぞれ違うのかについて会社ごとに徹底比較しました。
またダイヤモンド以外のメモリアルジュエリーも開発されつつあります。遺骨から作れるジュエリーは他にどんな種類があるのか、仕組みや費用についてまとめて紹介します。
【目次】
遺骨ダイヤモンドの値段|スイスと日本の違い?
結論から言うと遺骨ダイヤモンドを製作している会社はいくつかありますが、日本の会社であっても人間の遺骨や遺灰からダイヤモンドを生成する工程は特許技術のためスイスやアメリカなど海外でしか行えません。
つまりスイスの会社に頼もうが日本の会社に頼もうが、遺骨からダイヤモンドへの加工は海外で行われ、ダイヤモンドをアクセサリーへ加工するのは日本で行われる、という形は基本的にどこも一緒となります。
そのため遺骨ダイヤモンドは会社ごとに費用の差は多少ありますが、スイスか日本の会社かで差がでるということはあまりありません。海外への輸送費も元から含まれていています。
費用の違いは会社ごとの特徴・選ぶ色やカットの形やサイズ・ジュエリーのデザイン(リングやネックレス)によって左右されます。
相場は遺骨からダイヤモンドを製作するのに約40万円~400万円、ジュエリー加工で数万円~10万円程度です。
アルゴダンザ社やライフジェム社など有名な遺骨ダイヤモンド製作会社は日本に支社を設立していますので、詳しい説明や資料請求も日本語で受けられて海外の会社であっても安心して注文することができます。
また、かかる期間も海外に送って日本に戻ってくるという流れはどこも一緒なので製造の混み具合や注文のサイズによりますが、スイスでも日本の会社でも約半年前後というのは変わらないようです。
以上に述べてきた人間の遺骨ダイヤモンドの製造は特許技術で日本で行うと違法になってしまいますが、ペットの遺骨や遺品からダイヤモンドを作るのは国内でも可能です。
株式会社ミタスライフという会社では千葉県のラボで合成ダイヤモンドを製造しています。
天然ダイヤモンドに遺灰や遺骨から抽出した被膜をつけるという製法をとっており、作られるダイヤモンドは0.3カラットのみのワンサイズで44万円となります。
費用はやはり海外の会社と差はあまりありませんが国内での製造が安心で、ペットの遺骨ダイヤモンドを考えているという方にはいいかもしれません。
遺骨ダイヤモンドの価格|会社ごとの比較
メモリアルダイヤモンドの価格や、どんな仕上がりやメニューがあるのか主な会社ごとの特徴をまとめてみました。
アルゴダンザ社(スイス)
遺骨ダイヤモンドで最も有名なスイスのアルゴダンザ社です。ダイヤモンド葬という言葉を生み出し、全世界30か国で以上でサービスを行っている最大手です。
価格は原石で0.2カラット¥462,000~1カラット¥2,178,000、カットダイヤモンドで0.2カラット¥528,000~1カラット¥2,728,000です。最大1カラットまでと選べるサイズは少なめです。
特徴としては
- 無色透明から青みがかったブルーダイヤに仕上がる。故人によって色の濃度が変わる。
- スイスの工場で製作の過程を見学可能
- 契約に関する説明と遺骨の受け取りは基本的には対面で行う。安心して遺骨ダイヤモンドの製作依頼をできるようにこだわっている。
- 遺骨量が足りない場合に、遺品で作るスタイラス・ダイヤモンドも提案している。
遺骨ダイヤモンドの最大手とあって、見学や対面での遺骨の受け渡しなどご遺族の心理面への配慮がよくされているというのが特徴と言えます。
ライフジェム社(アメリカ)
アメリカに本社を置くライフジェム社。2004年に世界で初めて遺骨ダイヤモンドの製作を行った会社です。
価格は0.1カラット¥495000~1.5カラット¥3,016,200です。最大2カラットまで依頼できます。
特徴としては
- 世界初の遺骨ダイヤモンド製作会社で実績も6000を超える。
- 基本的には黄色みがかったダイヤに仕上がる。ブルー・カラーレス・レッド・グリーンから色を選べる。ブルーはホウ素を遺骨と別で加える。
- 必要な遺骨量は70gとかなり少ない量で作成可能。
- GIA鑑定書付
他社が数百グラムの遺骨が必要なのに対して、ライフジェム社は70gとかなり少量で製作が可能なため遺骨量が少ない場合におすすめできる会社と言えます。
EverDear社(アメリカ)
南カリフォルニア州に本社を置くEverDear社です。革新的な独自の製法により製造過程を少なくしたことで他社と比べて圧倒的な安さを実現しています。
価格はイエローダイヤモンドで、0.1カラット¥148,000~3カラット¥2,828,000です。
特徴としては
- 革新的な技術と間に仲介業者をおかない運営によって最安値を実現している。
- 色の選択肢が豊富で、イエロー・グリーン・ブルー・レッド・ブラック・ピンク・カラーレスから選べる。カットの形も選べる種類が多い。
- 同じ遺骨から複数のダイヤモンドをつくるファミリープランなど割引も行っている。
- 製作期間は11か月と比較的長め。
- GIA証明書付
高価な遺骨ダイヤモンドですが、EverDear社では手が届く価格サービスとなっているので費用がネックとなっている方にはおすすめの会社です。
遺骨/遺灰からジュエリー(宝石)を作る値段
遺骨ジュエリーに興味があるけど、価格がちょっと…という方も多いのではないでしょうか。平均して50万程度の費用がかかってしまう遺骨ダイヤモンド、なかなか手が出しにくいですよね。
遺骨や遺灰から作るジュエリーというとダイヤモンドが有名ですが、実は最近ではダイヤモンド以外の宝石も開発されつつあります。
ダイヤモンドより安価に作れるため、手元供養の遺骨アクセサリーとして考えている方はぜひ参考にしてください。
サファイア
日本のメモリアルジュエリーブランドのTOMONiが世界初の遺骨サファイアを開発しました。
遺骨からカルシウムを抽出し、天然サファイアと融合させることで作られます。サファイアは硬度が非常に高いので大切な遺骨を長く安心して身につけられるジュエリーと言えます。
必要な遺骨量は約8から10グラムと少なく、製作はすべて国内で完結するため期間も2か月~4か月と短いです。
費用は0.2カラットで¥275,000~1カラット¥748,000で、ダイヤモンドと比べると比較的安価です。
色はブルーサファイアかピンクサファイアの2色から選べます。
ルビー
オーストリアで世界で初めて行われた遺骨からルビーを作る技術ですが、まだ世間的に浸透しておらず日本では宇宙葬などを取り扱う銀河ステージという会社がアジアで唯一提携しています。
オーストリアのウィーン中央公園への埋葬というサービスを行っている関係で、こちらの会社で遺骨ルビーの正規販売代理店を担うことになったそうです。
詳しい仕組みや値段については不明ですが、誕生石のメモリアルジュエリーを作りたい方など気になる方はこちらの会社へ一度問い合わせをしてみてもいいかもしれません。
パール(真珠)
遺骨を使った真珠というものもあります。遺骨を含んだセラミック核を作り養殖真珠と同じ要領で真珠に核入れして養殖、水揚げしてアコヤ真珠の遺骨パールが完成します。
伊勢志摩で「いのりのしんじゅ」を製作している有限会社アッシュオンという会社が2016年より始めたサービスです。
必要な遺骨量は15g程度で9粒~18粒の完成となり、ネックレスなどアクセサリーに加工できます。費用は¥418000と少し高額です。
真珠と言えば喪に服す際の装飾品としても一般的なため法事の際などにも身につけることができるという利点があります。
養殖真珠と同じ製法ですので、自然に任せた2つと同じもののない遺骨ジュエリーに仕上がります。
麗石
遺骨と石の原料を高温で溶かし、結晶させてつくる遺骨麗石で株式会社レイセキという会社で販売されいます。色合いも優しい色からはっきりとした色まで好きに選べて、形も好きな型にいれて成型できるのでとても自由度の高いアクセサリーを製作できます。
また高温での作成により、御影石の3倍の強度を誇り万が一損傷してもまた溶かして直すことができるという利点があります。
必要な遺骨量はアクセサリー類で約2g、オブジェにする場合は約10から20gと他のジュエリーと比べてかなり少量で済みます。
製作期間は3~4週間で、早いものだと1週間でも可能だそうです。
オブジェとして供養するタイプで¥148,500で、アクセサリー類はピアスで約17万円~、ネックレスで約30万円ほどの費用がかかります。
まとめ
この記事では、遺骨ダイヤモンドの費用はスイスと日本で違うのかについて調査しました。
結果、日本の会社に依頼しても人間の遺骨であればスイスなど海外に送られて製作されるため基本的には費用は各会社で国内か国外かに関わらず、それほど差がないことが判明しました。
その中で、アメリカのEverDear社は比較的安価な遺骨ダイヤモンドの提供を行っています。
また国内では世界初の遺骨サファイアや真珠などが作成されており、ダイヤモンド以外の遺骨ジュエリーも選択肢として挙げられます。
墓じまいをして、墓の代わりに遺骨をダイヤモンドにという選択をする方は今後ますます増えていくかもしれません。
遺骨ダイヤモンド自体ここ20年で始まったばかりの技術ですので、遺骨をジュエリーに加工する手元供養の認知が広まるとともに、価格の低下や先述したようなダイヤモンド以外のサファイヤや真珠などの遺骨ジュエリーの開発が進んでいく可能性も満ちていますのでこれから目が離せない分野と言えます。