スマホやパソコンなど誰もが使用する現代、
「故人が設定したパスワードがわからない!」
「重要なデータが入った故人のパソコンはどう処理したらいい?」
「遺品整理士ってパスワード解除もしてくれる?」
このような、デジタル遺品の取り扱いはどうしたら?というような悩みは年々増えているようです。
この記事ではデジタル遺品の整理に関してお手上げの方へ向けて、遺品整理士に頼むのか?デジタル遺品はどうしたら?という疑問に答えていきます。
またデジタル遺品で起こりうるトラブルを挙げて注意点についても併せて解説していきます。
遺品整理士に頼む?デジタル遺品はどうしたら?

故人が残したデジタル遺品。訃報を知らせたい相手の連絡先の把握やサブスクの解約など遺品のスマホやパソコンのパスワードを解除しなければ、作業が進められない!というケースが増えています。
今どき誰でもスマホやパソコンを持っており、デジタル遺品に関しては今後誰もが頭を抱える恐れのある問題と言えます。
ここでは、まずデジタル遺品の簡単な説明と遺品整理士に頼んだ場合のサービスの内容と料金相場などについて解説していきます。
デジタル遺品とは?
デジタル遺品とは、故人が遺したスマホやパソコンなどの電子機器の中に残されたデータのことを指します。
デジタル遺品のデータには2種類あります。
- オフラインデータ…機器内に保存されている写真や動画、連絡先など
- オンラインデータ…インターネット上の無形メディアに保存されたSNSのアカウントやオンライン証券の電子口座など
スマホやパソコン自体のパスワードや、ネット上のIDやパスワードといった情報が分からずにこれらのデータが取り出せないという問題が発生します。
特にオンラインデータはネット上に分散しており、故人が残したデータの全てを把握するのはかなり難しいと言えます。
遺品整理士・業者には何を頼める?料金相場は?
遺品整理士・業者が行なっている主なサービスと料金相場についてまとめます。
遺品整理士とは
遺品整理士とは、遺品整理士認定協会が認定する民間資格です。
遺品の不法投棄など悪質な遺品整理業者が増えたことを背景に、きちんとした遺品整理業者とその資格を求める社会的ニーズから生まれました。
遺族に代わって遺品整理を行う上で求められる
- 廃棄物やリサイクル品の処理に関する法規制
- 清掃やクリーニングの知識
- 遺品の丁寧な扱い・運搬
など遺品整理にまつわる一定のスキルを有している人という証です。
国家資格とは異なりこの資格を有していなければ遺品整理業に携われないわけではありません。
しかし遺品整理は相続問題であったり不用品の正しい処理方法であったりと知っておかなければならない法規制が多いため、一定の知識を学んでいる遺品整理士という資格があると安心して顧客も依頼できます。
ただし、遺品整理士は法律や清掃の専門家というわけではないので、手に負えないような事態の場合はそれぞれの専門家を紹介する仲介という役割を行うこともあります。
デジタル遺品に関しても特別知識を持っているかどうかはその業者によって変わるため遺品整理士なら誰でも依頼できるというわけではありません。
デジタル遺品の対応、何を頼める?| 料金相場
それではデジタル遺品の対応をしている遺品整理業者ではどのようなサービスを行なっているのでしょうか。
データの取り出し(データ容量に制限あり32GB以内など) |
パソコン内の写真データの取り出し…約8,000円 |
動画データの取り出し…12,000円〜15,000円 |
アドレス帳のデータ取り出し…約5,000円 |
スマホ内のデータ取り出し…20,000円〜30,000円 |
パスワード解除 |
パソコンのログインパスワード解除…15,000円〜35,000円 |
スマホのパスワード解除…20,000円〜50,000円 |
インターネット上のログインIDやパスワードの一覧…約15,000円 |
その他サービス |
電子機器の初期化…10,000円〜20,000円 |
パソコンの廃棄…約8,000円 |
SNS退会、アカウントの削除…一アカウント5000円 |
ネットバンク、証券やFX、仮想通貨取引等の有無、利用金融機関の特定…一口座5000円 |
パソコンに比べてスマホの方が解除が困難なため解除費用もやや割高となります。パスワード解除は成功した場合だけの請求とする業者が多いです。
業者によって行なっているサービスや料金はまちまちで、依頼するデジタル遺品の内容や機器の種類によって料金も変わってきます。複数の業者に見積もりを出してもらって1番納得できる業者に依頼しましょう。
これらのサービスが全てセットになったお得なパックを提供している業者もあります。
デジタル遺品に対応可能な業者は?
ここではデジタル遺品に関するサービスを行っている業者を紹介します。
マレリーク

大阪に本社を置く遺品整理業者で、デジタル遺品だけでなく、遺品整理から特殊清掃まで幅広いサービスを行っている業者です。
デジタル遺品はパスワード解除など各サービス単体で依頼することはもちろん、一般的な作業すべてがセットになったお得なパックもあります。
また、遺品整理とデジタル遺品整理がセットになったパーフェクトプランもあるので、遺品整理とまとめて行ってほしい方には嬉しいサービスとなっています。
ただ、対応エリアが関西(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀)と関東(東京、神奈川、埼玉、千葉、栃木、茨城、群馬)だけなのでご注意ください。
DDF

DDFはハッキング調査やデータ復旧、デジタル機器から法的証拠を見つけるなどの様々なデータに関する問題解決を行う会社であり警察や捜査機関への協力も多数行っているなど実績が間違いなく、デジタル遺品も安心して依頼できます。
郵送で全国対応可能で、東京六本木の本社へ直接持ち込むこともできます。
24時間365日いつでも対応していて、見積もりも無料です。
デジタル遺品のパスワード解除は?取扱いは慎重に

デジタル遺品のパスワード解除はどうすべきでしょうか?専門業者に依頼すると最低でも数万円はかかるパスワード解除。
業者によってはパソコンは対応していても、指紋や顔認証のスマホのパスワード解除は行ってくれないところもあります。
それならパスワードを自分で解除できないか?と考える方や、解除は諦めてそのままにしたりスマホやパソコンを処分してしまったりする方も多いはず。
しかしデジタル遺品は実はとっても厄介なもの。法律的な面やトラブルの元となるという点で取り扱いには慎重にならなければいけません。
ここでは、デジタル遺品の取り扱いについて注意すべき点をまとめていきます。
パスワード解除、個人でできる?
パスワード解除を自分で試みようとする方もいるでしょう。
故人が使用しそうな生年月日や名前を用いたパスワードを推測するなどはできそうです。
またはパスワードを総当たりで入力してみようとしている方もいるかもしれません。
しかし近年のスマホやパソコンはセキュリティが向上しており、パスワードの入力の回数に上限が定められていることが多いです。
設定によってはロック解除ができなくなったり、最悪の場合にはデータが削除されてしまったりすることもあります。
世の中にはパスワード解析ツールなどもありますが精度は高くなく、やはり無理して開けようとした結果専門業者でもパスワード解析ができなくなったケースもあります。
機器を初期化するだけなら簡単にできますが、データを取り出したい場合には個人でパスワード解除するのは諦めて業者へ依頼しましょう。
Apple IDへのアクセスはできる可能性も
Apple社では状況により遺族が故人のAppleアカウントにアクセスできるように情報を開示してくれる可能性もあります。
しかし死亡証明書や裁判所命令などの法的書類を揃えてなおかつ審査に通る必要があるため、情報開示を受けられるケースはかなり限られます。
そこで最新のバージョンでは、故人アカウント管理連絡先を指定することができるようになっています。こちらに登録してアクセスキーを保管しておくことで開示を簡単に受けられるようになっていますので設定しておくことをおすすめします。
デジタル遺品そのままにしたらダメ?
それでは、面倒なパスワード解除は諦めてそのままにしておくのはどうでしょうか。
FXなどのネット資産をそのままにした場合やpaypayなどのモバイル決済の残高を調べないままスマホを初期化してしまった場合、知らないまま損失が膨れ上がっていたり正しく遺産相続ができないままになってしまったりといった恐れがあります。
デジタル遺品をそのままにする、いきなり初期化してしまう、などするとネット資産に気づかず大きな損害を被るリスクがあります。
または初期化せずに機器を売却したり使用したりするのもNGです。個人情報が漏洩して悪用される恐れがあります。
デジタル遺品、法律的にOKなこと・NGなこと
デジタル遺品に関する法律は国内ではまだ制定されておらず、法整備が求められている分野になります。
そもそも故人の個人情報を勝手に見てもいいのかという疑問もありますが、遺産分割協議が終了していれば故人のデジタル遺産は相続財産とみなされています。
スマホやパソコンは有形の遺産ですが、その中身の写真などの財産的価値のないデータに関しては遺産とするか故人のプライバシーとするかなどが争点となっています。
まだ法律は整備されていないものの、今のところは相続人が故人のデータを自由に見て構いません。
逆に、正式に相続が決定する前や遺族同士で取り扱いについて決定する前に、勝手にパスワードを解除してデータを取り出したり機器を売却したりするのは法律に触れてしまいます。またトラブルの元ともなりますのでやめましょう。
デジタル遺品にまつわるトラブル・注意点

ここではデジタル遺品が引き起こすトラブルについて事例を挙げていきます。
サブスクを解除できない!
近年サブスクのサービスは多岐に渡り、利用している人も多いことでしょう。
便利なサブスクですが、故人の死後も遺族が把握できいなければ支払いが延々と続いてしまうことになります。
基本的には引き落とし先の口座やクレジットカードを停止することで、支払いが行われずサービスの利用も停止されることが多いためそこまで心配はいりません。
しかし万が一ですが、利用していたサービスが延滞料金を求められるものだった場合しばらくのちに膨れ上がった延滞料金を求められたといケースもあります。
最近では故人のNHKの受信料支払いについてネットで話題になりました。
法整備が追いついていないため、現時点では生前に故人が利用しているサービスを共有しておくことが対策として挙げられます。
訃報の連絡先がわからない!
故人の訃報を知らせるにあたって、故人と交友関係のあった人たちに連絡をとろうにもスマホやパソコンが開けず、連絡先がわからないという問題があります。
年賀状のやりとりなども近年減ってきており、仲が良くてもLINEなどでしか連絡先がわからないことも多いはず。
年賀状などアナログな連絡方法もいざという時に役立つと言えるので、大切にしてみてもいいのかもしれません。
ネット資産の相続ができない!
ネット口座や仮想通貨などの資産があった場合、デジタル遺品にアクセスできないと正確な遺産相続ができない、手続きが進められないといった事態に陥ります。
そもそも故人が有しているネット資産があるかどうかすらわからないままになってしまう恐れもあります。
また有料サービスと同様に遺族の知らないところでFXなどがそのままとなり負債が膨れ上がっていた!というケースも…
口座への入金の履歴などからネット資産の有無を知れる可能性もありますが、やはり事前に資産として何を持っているかはリストにして残しておくべきでしょう。
家族にも隠す方が多いFXや仮想通貨などですが、こういったリスクは念頭におきましょう。
デジタル遺品は生前整理しておくと安心

ここまではデジタル遺品にアクセスできない場合のトラブルについて述べてきました。
遺族を悩ませないためには、何より生前整理しておくことが大切です。
人間いつ死ぬか分からないものですので誰もが備えておくべきことでもあります。
以下にデジタル遺品の生前整理について紹介します。
デジタル遺品の生前整理
他の有形の遺品整理と同じくデジタル遺品に関しても生前に整理しておくことが大事です。
色々な方法がありますが、おすすめとしては以下のような生前整理です。
- スマホやパソコンにアクセスできなくても見られる、ネット上で利用しているサービスやネット資産に関するリストを作っておく。
- IDやパスコードの一覧を書いたファイルを共有し、パスワードをアナログで残しておく。
パスワードの機密性を高めるために普段使用しているパスは家族にも教えないべきです。
しかしいざという時にパスワードを伝える手段を残しておくべきであり、バランスが難しいところです。
見られたくないデータは消す・消える設定に
故人の残したデータに、家族としては見たくなかったものが見つかることもあります。
故人とはいえプライバシーに触れるのは見る側も気持ちのいいものではないのですよね。
そこで見られたくないデータがある場合には、自動的に指定のデータ消去してくれるソフトを使用しましょう。
遺言メッセージが表示されている間に裏でこっそり秘密のデータが消去されるというユニークなフリーソフト「僕が死んだら…」などがおすすめです。
まとめ
この記事では、「遺品整理士に頼むべきなのか、デジタル遺品はどうしたら?」という疑問に対して、デジタル遺品整理を業者に頼んだ場合のサービスの内容や相場について解説しました。
またデジタル遺品を取り扱う上での注意点や、よくあるトラブルについて事例を挙げながらまとめました。
デジタル遺品はどこの遺品整理業者でもサービスを行なっているわけでなく、デジタル遺品専門の業者がいます。そちらへ依頼しましょう。
パスワード解除やデータの移行などは業者に頼んだ場合数万円〜10万円程度かかってしまいますが、個人でパスワード解除などしようとするとデータが失われてしまう恐れもあるため、重要なデータなどが残っている場合業者へ依頼した方が安心です。
近年はネット上でサブスクやFXなどを行う人も多く、死後も解約できないままで料金がかかり続けるなどトラブルが増えています。
そのためデジタル遺品も生前整理を行っておくことが重要です。